資格を取得したいと思ってはいるものの、どんな資格を取得するべきなのかわからない…と悩んでしまう人は多いと思います。
まずは自分がどのような目的で資格を取得したいのかを考えることが大切です。
そこで今回はおすすめの資格を目的別に紹介します。
資格・検定の取得を目指す理由
株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズが実施した『日本の資格・検定』の調査によると資格取得の理由は主に次の3つです。
- 進学・就職・転職のため(48.9%)
- 業務に役立つため(47.9%)
- 自己啓発(46.9%)
やはり進学・就職・転職という人生の転換点を見据えて資格取得を目指す方は多いようです。その他は同じ仕事面の理由でも今の仕事に役立てることを目的とする人、自己研鑽の一環として資格取得を目指す人が多いようです。
進学・就職・転職で役立つ資格

TOEIC 700点以上
グローバル化の影響で日本国内でも外国人とやり取りする機会が増えてきており、英語でコミュニケーションができれば、進学や仕事の選択肢を増やすことができます。
もっともおすすめな英語に関する資格はTOEIC® Listening & Reading Test(TOEIC L&R)です。
TOEIC L&Rは英語によるコミュニケーション能力を評価する世界共通のテストです。リスニング(約45分間・100問)、リーディング(75分間・100問)、合計約2時間で200問に答えるマークシート方式で990満点中何点とれたか?で評価されます。
日本でも受験者数が多いことから、学校教育機関や企業によっては選考基準にTOEICスコアが求められることがあります。
もし資格としてアピールする場合は、700点以上を目指しましょう。
2021年度 TOEIC L&R公開テストの平均スコアは611点なので、700点はトップレベルとまではいきませんが、平均より上のレベルといえます。具体的には日常英会話についてはスムーズなやり取りが可能であり、ビジネスシーンにおいても一定のレベルで意思疎通が可能な能力があるとされています。
企業の求人情報を見ると、TOEIC L&Rスコアが歓迎ないし必須条件として記載されていることがありますが、低いところでも600点が下限です。
700点以上のスコアがあれば、英語力がある人材として重宝され、就職や転職で有利になるでしょう。
日商簿記2級
会計や経理の仕事はあらゆる業界で必要とされる業務です。会計・税理士事務所はもちろん、金融関連、商社、コンサルティング会社なども企業の経営成績や財務状況を分析できる人材を求める傾向があるため、簿記の資格を持っていることで、就職や転職活動で有利に働くことが多いです。
また会計や経理職でなくても、会社全体の業績や財務状況に関する理解を深めることができ、組織内でのキャリアアップのためにも役立ちます。
簿記の資格にはいくつかありますが、広く認知されているのは日商簿記です。
日商簿記を就職・転職活動でアピールするなら2級以上の取得を目指しましょう。
日本商工会議所によれば、日商簿記2級のレベルは以下の通り定義されています。
日本商工会議所 日商簿記2級のレベル, https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2
経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。
会計の基礎的な知識や仕訳帳、決算書、簿記の基本的な手続きに関する問題が出題されます。会計や経理の職種に就くための基本的なスキルを身につけたい方や、就職や転職活動の際にアピールしたい方におすすめです。
ITパスポート
ITパスポートはITに関するもっとも初歩的な資格であり、情報技術に関する基礎的な知識を問われる試験です。
コンピュータやインターネットに関する基本的な用語や原理、操作やアプリケーションソフトの基本的な使い方、情報セキュリティに関する基礎的な知識が問われます。
現代社会においてITに関するスキルはどの業種・職種でも必要とされます。最近ではデジタルトランスフォーメーションの浸透でさまざまな職種でITスキルを持つ人材の重要性が高まっています。
ITパスポートは情報処理技術者試験の中でも初歩的な資格の位置づけです。
ITパスポートだけでは就職活動で有利になることは難しいですが、資格として認知度が高く、ITに対する基礎的な知識があることをアピールできます。またITパスポート取得のために自己学習やスキルアップの努力があったことを示すことができます。
業務に役立つおすすめの資格

Excel表計算処理技能認定試験
Excel表計算処理技能認定試験は、Excelを用いた表計算処理能力を測定するための資格試験です。試験ではExcelを用いた計算処理、関数やグラフ作成などの基本的なスキルから、マクロの作成やプログラミングなどの高度なスキルまで幅広く問われます。
Microsoftの資格といえばMOS(Microsoft Office Specialist)が有名ですね。
MOSはMicrosoft Office全般に関するスキルを測定するための国際的な資格認定試験です。その一方、Excel表計算処理技能認定試験はExcelを用いた業務処理に必要なスキルを評価するために導入された試験なので、MOSよりもExcelに特化した試験といえます。
出題内容には、「知識問題」と「実技問題」があり、実技試験は素材データを集計、グラフ化して「完成物」を作成する非常に実践的な内容になっています。
Excel表計算処理技能認定試験には、初級・中級・上級の3つの級が設定されています。受験者は自分のスキルレベルに合わせて受験することができます。
Excelはどのような業種・職種に関わらず、もっとも実務で使用されるOfficeソフトです。営業職にしても事務職にしても、売上管理や請求書作成にはExcelが用いられることが多いです。
実用度はWordやPowerPointと比べて頭一つ抜けているといっていいでしょう。
Excelが使えるということは、効率的かつ正確に業務処理ができることであり、活用の場面は業務内容を選びません。
非常に実用的な資格なので、業務スキルをアップしたい人におすすめです。
Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)
Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)は、Googleが提供するウェブ解析サービス「Googleアナリティクス」の利用方法や解析結果の解釈に関する知識を問う資格試験です。
ウェブ解析というとマーケティング系の職種に限られたスキルと思われがちですが、決してそうとは限りません。
ウェブデザイナーや経営企画、商品開発系の職種の場合でも、自社サイトのアクセスデータを分析して、戦略立案や改善施策を検討することが多々あります。他にも人事担当者がウェブ解析スキルを身に着ければ、求人応募数を増やすために採用ページの課題を発見し、改善施策を打ち出すことができるようになります。そのため、ウェブ解析スキルはビジネス全般において有用なスキルといえます。
GAIQの試験は、90分間で70問の複数選択式の問題が出題されます。
出題内容としては、Googleアナリティクスの基本的な機能やレポートの作成、アカウントの設定、目標の設定、電子コマースの追跡、データの分析とレポート作成など多岐にわたります。
Googleから無料でオンライン学習コースが提供されているので、これまでウェブ解析をしたことがない人にとって、とっかかりやすい資格であるところもおすすめポイントです。
ロジカルシンキングマスター
ロジカルシンキングマスターは論理的思考を構築する上での基礎知識である帰納法・演繹法から、理論展開の方法、MECE、優先順位を立てるためのマトリックスなどの有効的な手段を、状況に合わせて使い分け、より効率的に理論を構築できる能力を備えたことを証明する資格です。
ビジネスシーンにおいては、問題を正確に把握し、解決策を論理的に導き出すことが求められます。そのため、情報を整理・分析して、適切な課題設定と有効な打ち手を考えるロジカルシンキングは非常に重要なスキルといえます。
多角的な考えかたや理論的思考を身につけたいかたにおすすめです。
自己啓発におすすめの資格

ファイナンシャル・プランナー(FP)
ファイナンシャル・プランナー(FP)は、個人や家族のライフプランに基づいた資産形成や資産運用のアドバイスを行う専門家です。
顧客のライフスタイルや将来の目標を考慮した総合的な資産運用計画を作成し、最適な金融商品の選定や投資アドバイス、相続や税務対策などのアドバイスを提供することが求められます。
ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要となります。
つまりファイナンシャル・プランナーの資格取得を目指すことで、プロ目線のお金に関する知識を身に着けることができます。
「これから自分と家族の人生にはどれくらいの費用がかかるのだろう?」
「貯金や年金だけで老後資金は大丈夫だろうか?」
「家を買うときに活用するべき制度は?」
お金に関する悩みは尽きることはありません。
マネーリテラシー向上が期待できるファイナンシャル・プランナーについて勉強することは、自己啓発としても非常に良い選択です。
硬筆書写技能検定
硬筆書写技能検定とは、日本書写技能検定協会が実施する硬筆書写の技能検定で、ボールペンや硬筆で美しい文字を書く能力を評価する試験です。
資格特典としては進学時の加点要素となったり、ペン字教室などが開業できたりといったものがありますが、すでに働いているひとにとっての修得メリットはやはり「美しい文字が書けるようになること」です。
スマホやパソコンが主流のご時世ですが、手書きで文字を書く機会は多くあります。
- 会社の会議、伝言メモ
- 履歴書
- ご祝儀・香典の記名
- 役所などの申請書類
文字が汚いと(相手は何とも思ってなくても…)失礼、恥ずかしいという気持ちになりますよね。
きれいな文字を書くことができると、礼儀正しく、品がある人といった好印象をもってもらいやすく、自分にとっても自信につながります。
硬筆検定の等級は6級・5級・4級・3級・準2級・2級・準1級・1級との8つです。
等級 | 概要 |
---|---|
6級 | 小学校1年生から3年生くらいまでの低学年程度 硬筆書写のもっとも初歩的技術及び知識をもって書くことができる。 |
5級 | 小学校3年生以上程度 硬筆書写の初歩的な技術及び知識をもって書くことができる。 |
4級 | 中学生・高校生程度 硬筆書写の基礎的技術及び知識をもって書くことができる。 |
3級 | 中学生・高校生程度 硬筆書写一般の技術及び知識をもって書くことができる。 |
準2級 | 高校生・大学生・一般社会人程度 硬筆書写のやや専門的な技術及び知識をもって書くことができる。 |
2級 | 高校生・大学生・一般社会人程度 硬筆書写の専門的技術及び知識をもって書くことができる。 |
準1級 | 高校生・大学生・一般社会人程度 硬筆書写のより専門的な技術及び知識をもって書くことができる。 |
1級 | 大学生・一般社会人程度 硬筆書写の高度な専門技術及び知識をもって書くことができる。 |
SDGs検定
環境問題に関する検定合格に取り組むことも自己啓発におすすめです。
例えばSDGs検定は社会的に注目されているSDGsの基本的な理解、世界で起こっている課題やその取組に関する幅広い知識の習得を目指す検定です。
受検することで、SDGsが必要とされてきた背景、なぜSDGsを達成しないといけないのか、そして誰がどのようにSDGsに取り組んでいくのかを学ぶことができます。
試験では、SDGsの17の目標と169のターゲット、現状の課題と取り組みに関する知識や理解が問われます。
出題範囲がかなり広範囲であること、比較的新しい検定で、過去問対策が進んでいないことから合格率は第5回で26%と比較的難易度が高い傾向にあります。
合格のハードルは少々高いですが、現代社会において、企業はもちろん個人対しても社会的責任が求められるようになっており、SDGsを理解し、それに基づいた行動を起こす重要性は増してきています。
SDGsに関連する業務に従事しているかたはもちろん教養を高めたい一般のかたにもおすすめの検定試験です。
おわりに
おすすめの資格を目的別に紹介しました。
資格取得は意味がない、実務の場で役に立たないという人もいますが、必ずしもそうとは限りません。
たしかに資格は取得するだけで十分というわけではなく、その資格が身につけた知識や技能を実務で活かし、経験を積むことが重要です。
資格取得を検討する際は、資格を取得する目的とその後の活用イメージをしっかり持って、自分自身のキャリアアップやスキルアップにつながるかどうかを考慮して決めるようにしましょう。